花売りのおばあさんⅠ
幼い頃の思い出です。
土埃舞う明るい春の道を、
乳母車を押して花を売りに来るおばあさんがいました。
私は家の中にいて、「花エー」というその売り声と、
乳母車のゴトゴトという音を聞いているわけですが、
このような景色を実際に見たのかどうかは
定かではありません。
けれども心の中によみがえるのは、
このような明るい白昼夢のような景色です。
それを思い浮かべるたび、
ふるさとに帰ったような、
落ち着いたなつかしい気持ちになります。
- 2002~2003
- 水彩,パステル,アクリル・紙
- 27.8×20.4 cm