「原風景」を作る 新作「子守歌」(立体)

高宮画廊での展覧会(今年6/1~11)以降の新作を

紹介していきたいと思います。

 

高宮画廊での展覧会では、

我が師・津田季穂を心から敬愛されているSさん(兵庫県在住)に

多大なご助力をいただきましたが、

そのSさんから「聖母像」(立体作品)制作のご注文をいただいていました。

それほど場所をとらないもの、という以外

どのような像にするかは

すべて私にお任せくださったのですが、

最初は下のようなものを立体化することを考えました。

 

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「無原罪の聖母」1988年

 

 

親友のご長男誕生のお祝いに制作したものですが、

この図像はもともと「不思議のメダイ」のものです。

 

1830年、フランス・パリ・バック通り140番地

「聖ビンセンシオ・ア・パウロの愛徳姉妹会」の修道院聖堂で、

聖母がカタリナ・ラブレ(修道女)の前にこのような姿で現れ、

この図像を刻んだメダイを作るよう指示がありました。

 

そのメダイを身につける人々に多くの奇跡が起こり、

「不思議のメダイ」と呼ばれて広まり、

今も世界中でたくさんの人々が身につけている、

というものです。

 

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不思議のメダイ(表・裏)(1987年に現地で買った絵はがき)

 

 

私は20歳代後半頃にも

この図像を立体化することを試みましたが、

作品は未完成のまま今も私のアトリエにあります。

 

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けれども今の私は、

このような神々しい姿より、

神的愛の象徴、母性の象徴とも言えるような聖母像を作りたい

と思うようになりました。

 

神的愛は無限の深さがあり、

私たちには計り知れないものだと思いますが、

私たちが感覚的に、あるいは体験的にとらえやすいのは、

親が子に向ける愛の姿ではないでしょうか。

 

具体的な形にするなら、

それは権威ある姿などではなく、

この世的には貧しく力もない母親が、

その愛し子を全身全霊で慈しむ姿にしたいと思いました。

 

 

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そして9月13日、このような作品ができました。

題名は「子守歌」。

 

10㎝ほどの深さのある額縁入りで、

下のように2個のLED電球を使っています。

 

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背景は何故か夕暮れ時の空になりました。

 

この世での生を終えてあちらの世界に帰って行くとき、

私たちの魂はこのように神的愛に迎えられるのではないか、

などと想像しながら作りました。

 

否、実は私たちは、

今もこのように、大いなるものに抱かれているのかもしれません。

 

 

2011121906.jpg

 

立体で表現した、ひとつの「原風景」です。

 

 

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