花巻への旅 前日 7/10(土)

花巻へ行く前日の7月10日(土)、

東京、共立女子学園図書館展示室で開かれている

鳴門の画家たち展 -ベニウズの三人-

を見に行きましたが、

その前に銀座、兜屋画廊で開かれていた、

私の敬愛する作家、金井一郎さんの展覧会に

行かせていただきました。

 

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このたびはLED電球を使った、なつかしい街灯をモチーフにした作品と、

植物の明かり、そして梶井基次郎の作品世界を描いた翳り絵を

見せていただきました。


「翳り絵」とは、

黒いラシャ紙に木綿針で細かな穴を数万あけ、

その紙を3,4枚微妙にずらしながら固定し、

光をラシャ紙の後ろからあてる、という技法で、

暗闇の中に静かに浮かび上がる映像は

不思議な立体感があり、

心の奥深くをのぞき見るような神秘感があります。

 

 

金井さんとの出会いは、とても不思議なものでした。

1992年の8月末、2度目に花巻を訪れたとき、

イーハトーブ館の図書室で資料を見ていて、

雑誌「アニマ」に載っていた金井さんの翳り絵作品

「銀河鉄道の夜」の数点を見つけ、魅了されてしまいました。

お名前だけ控えて帰ったのですが、

その数日後、何気なくテレビを見ると、

なんと金井さん御本人が映っていました!

そのとき東京で開かれていた「銀河鉄道の夜」を描いた翳り絵の展覧会

「金井一郎ピンホール・ワーク展 宮沢賢治の宇宙へ。銀河鉄道の夜へ。」

(9月4日~13日・池袋パルコ7Fスペース7)

と、制作の様子が紹介されていたのです。

 

そのとき東京の大学で宮沢賢治さんの研究をしていた

妻(このときは結婚前年でした)に

展覧会に行って様子を伝えてくれるよう頼みました。

すぐ展覧会を見に行ってくれた妻の返事は、

「無理をしてでも見に来た方がいい」でした。

そこですぐに飛行機の予約をし、

その週末、展覧会を見に行きました。

 

すっかり感動してしまった私は、

アンケート用紙に熱く感想を書き連ねました。

すると後日、ご丁寧にもお便りをいただきました。

うれしくなった私は、

私の作品と学校での活動をまとめたビデオを送らせていただきました。

そして翌年、東京・銀座で開いた個展の初日には、

思いがけずも見に来てくださいました。

それ以来、たまにお便りのやりとりなどがあって

おつきあいいただいています。

 

金井さんからいただいた「植物のあかり」たちは

私のアトリエの一角を不思議な空間にしてくれています。

 

 

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きのこのあかり

 

 

 

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ほおずきのあかり

 

 

 

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右は からすうりのあかり

 

 

 

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ランプシェードのスペア(下の段)もたくさんいただきました。

これでひとしきり遊べます。

 

 

 

金井さんの「銀河鉄道の夜」については

理想書店 ボイジャーから「翳り絵版 銀河鉄道の夜」という

電子本が販売されています。(525円)

 

 

 

今回も、さびしげでかわいらしい街灯と、

翳り絵・梶井基次郎の世界は

思い出そうとするけれども

なかなかはっきりと言葉にできない、

なつかしくも大切な何かを、

心の底から引っ張り出してくれるかのようでした。

 

花巻への旅の始まりに当たって、

また宮沢賢治さんがもたらしてくれた不思議なご縁を感じました。

 

次回に続く)

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