「原風景」を描く(2)

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今年の8月18日、

四国放送のニュース番組「フォーカス徳島」の中で、

私が昨年7月、宮沢賢治の故郷・花巻を訪れ、スケッチをしたことについて

「宮沢賢治の岩手・花巻 心のふるさと 描き残す」というタイトルで紹介してくれました。

 

宮沢賢治の作品の中に描かれている「心のふるさと」を

花巻の随所で実感し、描いたことによって、

徳島に帰ってからも身近なところに「ふるさと」を見出しやすくなっていった...

そんな私に、思いがけずふるさとの「原風景」を描いてほしいという依頼が舞い込み、

2枚の絵を描かせていただいたことも紹介していただけました。

あの震災によって

「本当に大切なもの」に目を向けざるを得なくなった私たちと、

宮沢賢治が求め続けたものとの関連をも暗示し、

8分17秒という短い時間の中に、よくまとめてくださっていました。

 

さて、その数日後、

テレビを見てくださった、近所にお住まいのNさんから、

ご主人のお母様、そしてご主人の原風景でもある

古い家を描いていただけませんか、というメールをいただきました。

 

Nさんは、私の息子2人がお世話になっている

少林寺拳法加茂名道院の拳士仲間であるTaichiくん(小6)のお母様で、

私の個展を見に来てくださったり、

また私が勤めていた阿波高校のご出身ということもあって、

私も妻も親しくお付き合いさせていただくようになりました。

 

そのNさんのご主人のお母様がご高齢になり、

このたび、お母様が慣れ親しんだ中島田町(私の近所)の土地に

新しい家を建て替えて、同居をしようということになったということです。

 

けれどもお母様にとって、その古い家は

嫁として母としてがんばって、

何十年も生活した思い出がたくさん詰まった家なので、

できたら壊したくないという気持ちが強いとのこと...

 

けれど築62年にもなっていて、

そのまま住むのもリフォームするのも無理があり、

同居をするためには、この際建て替えるしかない...

そんなときにテレビで、私が高松尚輝さんの故郷の風景を描き、

それが高松さんの横須賀の新居に飾られているところを見て

「あっ!」と思われたということです。

思い出の家を描き残してもらって、お母様の部屋に飾ってあげたいと...。

 

とてもやりがいのある仕事のお話、

喜んでお引き受けしました。

 

なつかしいおうちの前でご家族がおられるところを描くことになり、

まずは古い写真のアルバムを見て参考にさせていただきました。

 

そして何度か現地に行って、写真を撮ったり、

スケッチをしたりしました。


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子どもの頃に私を包んでくれていたなつかしい世界を思い出させてくれるおうちでした。

 

 

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今、もうこのおうちはありませんが、

このおうちが与えてくれたものは

心から心へと受け継がれ、

ずっと生き続けていくことでしょう。

 

また、このたびのの経緯は

四国放送さんの方で取材してくださり、

年が明けてからテレビで紹介していただけることになりました。


 

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私の活動を深くご理解くださり、

いつもていねいに、そして精力的に取材してくださる

カメラマンの久賀栄二さんです。


 

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8号キャンバスに描き始めましたが、

こんな構図で制作を進めています。

 

時代は昭和39年か40年頃...

 

中央には一番上のお兄様と、バイクが好きだった亡くなられたお兄様に抱かれた

小さかった頃のご主人...

 

それを見守るお母様と、亡くなられたお父様...

 

その様子を家の窓から見ているのは

現在のご主人とNさん、そしてTaichiくんです。

題名は「小春日」。

新しいおうちの完成に合わせて、来年3月はじめ頃完成の予定です。

 

 

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コメント(2)

こんにちは。

いつもブログ読んでいます。
今回も写真が素敵でした!

「なつかしい」という気持ちを心の中で思わず探ってしまうようなあたたかくてそれでいて鮮明なイメージでした。

行ったことはないけれどどこか懐かしいと・・・いう思いを先生の作品から感じます。

先日、先生の影響で宮沢賢治の詩を読みました。
映画「コクリコ坂から」に引用されていた詩です。
いまだから・・・というものもあるかも知れませんが私には強烈に響きました。ガツンときました。やられたというのが一番近いかも知れません。。

八木先生の「教える」という感じではなく「導く」イメージでいつも私の中での故郷へと連れて行ってくれるスタイルが好きです。

いつも私におかえりと言ってくれるこのサイトが大好きです。

応援しています。

最近PC環境の変化があったせいで、コメントをいただいていることに気付きませんでした。すみません。
いつもブログを見てくださり、またとてもうれしいご感想をいただき、ありがとうございます。
賢治さんの詩を読まれたとのこと、すばらしいです。本当に、今だからこそ響くものがあります。今の世のひとつの道しるべになり得ると思います。
さて、なつかしいものを探ってきた私ですが、究極「光と影」にキーがあるように、このごろは感じています。
またブログに書きますね。
ゆるさんによろしく。            「変わり者」より

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