この日は朝から雨でしたので、
午前中は旅館の部屋でスケッチに手を加えたり、
水彩やパステルで色をつけたりしました。
御宿 玉川 (7/16撮影)
このたび、とても温かいおもてなしでお世話になった
旅館「御宿 玉川」さんには
画家・向井潤吉さんも定宿にして
制作をされていたとか・・・
このように広い部屋をいただいていたおかげで、
とても自由に快適に過ごすことができました。
岩手県で宮沢賢治さんゆかりの地と言えば、
盛岡他たくさんあるのですが、
今回の旅は、とにかくゆったりとした時間を作り、
制作に向かうためでしたので、
あまり動かず、歩ける範囲くらいで
花巻をじっくり味わおうと思っていました。
けれどもこの日は外でスケッチもできにくかったので、
宮沢賢治記念館のIさんからお勧めがあった鉛温泉あたりに
出かけてみることにしました。
花巻に着いた日に駅の観光案内所で目にとまった
大沢温泉で開かれているイベント
「昭和の学校」にも惹かれたからです。
花巻駅からバスで30分くらいで
鉛温泉 藤三旅館に着きました。
湯治のため長期逗留する方々のための自炊宿「湯治部」棟も備える
藤三旅館は、独特の雰囲気のあるちょっと不思議な建物でした。
藤三旅館湯治部
藤三旅館もよかったのですが、
近くにあった廃屋にも惹かれました。
「月夜のでんしんばしら」の絵のモデルになりそうな電信柱もあり、
来てよかったと思いました。
バス停から見た山
童話「なめとこ山の熊」のなめとこ山は、
このまだ奥にあるそうですが、
その雰囲気は幾分か味わうことができました。
この後バスで6分ほど(花巻寄り)の大沢温泉にも行きました。
山水閣
旅館に降りていく道を脇に入ったところに
金勢神社と
かつて旅館付きの映画館兼劇場であった建物で
「昭和の学校」という展示会が催されていました。
子ども時代を思い出すなつかしいものたちがいっぱいでしたが、
2階の映写室の雰囲気にはワクワクするものがありました。
雨にけぶる渓流と灯のともる温泉旅館は
「別世界」とも言えるような場所でした。
16:07にバスに乗り、また花巻駅に向かいましたが、
途中「ポラーノの広場」の舞台でもあるかのような
(そのように「私が勝手に感じる」ということですが)
風景をいくつも見、バスの中から何度もシャッターを切りました。
「つめくさのあかり」1993
16:33花巻駅着。
雨もほとんどやんでいたので、旅館近くを散歩しましたが、
独特の建物に惹かれて迷い込んだところが、
また是非歩いてみたいと思っていた大堰川プロムナードの入口でした。
不思議なガラス張りの水車小屋があり、
静かな通りを歩いていると
両脇の家の屋根ではカラスが出迎えてくれ、
そこもひとつの別世界。
町中を通る秘密の通路といった趣がありました。
花巻市役所付近でプロムナードから地上の道に上り、
夕食のため「源喜屋」さん(下の写真右)に行きました。
花巻の銘柄「白金豚」を生産する「高源精麦」の直営料理店です。
社長さんが賢治さんの童話「フランドン農学校の豚」を読んで、
殺生に対する深い洞察に感銘を受けたことがきっかけとなって
生まれたのが「白金豚」だそうで、
「白金豚しゃぶしゃぶ鍋」「カマンベールフライ」「ピリ辛冷奴」は
涙が出るほどおいしかったです。
一人でぜいたくな食事をしながら、
妻や子どもたちも連れてきてあげられたらどんなにいいだろう、
と思うと文字通り涙が出ました。
お店ののれんもこの通り(左・どんぐりと山猫、右・銀河鉄道の夜)
宮沢賢治さんの童話がモチーフとなっており、
こんなところまで、と思うほどに強い
この地における賢治さんの影響力を思いました。
夕食後はまたちょっと足を伸ばして
花巻駅から北に向かう道路の壁面に
ブラックライトで浮かび上がる壁画
「未来都市銀河地球鉄道」を見に行きました。
夜の「御宿 玉川」
帰って旅館ではKAGAYAさんのCGアニメーション「銀河鉄道の夜」
のDVDを見せてもらい、
そのCGの質の高さに驚きました。
雨が降ったからこそいろいろな出会いもあって
とても充実した一日となりました。
(次回に続く)
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